「貫禄」とは何か——怒られ、学び、成長する日々
ビジネスの世界では、「貫禄がある」という言葉が時折使われる。私も最近、ビジネスパートナーから「貫禄があるね」と言われることが増えた。最初は褒め言葉なのか、それとも遠回しに「老成してる」と言われているのか戸惑ったが、どうやら前向きな意味合いが強いらしい。
なぜ貫禄が出てきたのか? その答えを探るため、最近の出来事を振り返ってみた。
新しい仲間の引き継ぎをする日々
最近、私のチームに新しいメンバーが加わった。業務の引き継ぎをする立場になり、これまで自分が何気なくやっていた業務を言語化する機会が増えた。
「この作業はなぜこうするのか?」
「このミスが起きやすいポイントは?」
こうした問いに答える中で、自分の仕事への理解が深まると同時に、経験値が蓄積されていることを実感した。
新人が最初に戸惑うポイントを先回りして説明できるようになると、「さすがですね」「よく気づきますね」と言われることが増えた。確かに、新人の頃は自分も同じように戸惑っていた。だが今は、その戸惑いを解消する側に回っている。この立場の変化こそ、「貫禄が出た」と言われる理由のひとつかもしれない。
ミスを見つける力がついてきた
引き継ぎを進める中で、ある資料の誤りを発見した。最初は「ちょっと気になるな」と思った程度だったが、よくよく確認すると、クライアントへの報告資料に重大なミスが含まれていた。
もし気づかずに提出していたら、信頼を失うところだった。
以前の自分なら、見落としていたかもしれない。しかし、経験を積むにつれて、違和感を覚えるポイントがわかるようになってきた。小さな違和感を放置せず、深掘りして確認することで、大きなミスを防ぐことができる。
こうした「ミスを未然に防ぐ力」も、貫禄の一因だろう。
客先で怒られる——それでも前に進む
とはいえ、すべてが順調なわけではない。先日、客先で思い切り怒られた。
資料の内容について厳しく指摘され、準備不足を痛感した。自分では十分に準備したつもりだったが、クライアントの期待値には届いていなかったのだ。
正直、悔しかった。だが、怒られるというのは、ある意味で「期待されている」ことの裏返しでもある。どうでもいい相手なら、怒られることもないだろう。
この経験を糧に、次回はより万全の準備を整えると決めた。怒られたことを単なる失敗と捉えるのではなく、成長の糧にする。こうした姿勢もまた、貫禄につながるのかもしれない。
貫禄とは「経験の蓄積」
こうして振り返ると、「貫禄がある」と言われるのは、単なる年齢や態度の問題ではないと感じる。
・新しいメンバーに仕事を教えることで、自分の理解が深まる
・ミスを発見できるようになることで、責任感が増す
・怒られても立ち止まらず、改善につなげる
こうした経験の積み重ねが、「貫禄」という形で表れるのだろう。
もちろん、まだまだ学ぶことは多い。だが、「貫禄があるね」と言われるたびに、少しずつ自分が成長しているのだと実感する。
今日もまた、新しい経験を積みながら、一歩ずつ前へ進んでいこう。